甲子園に感動された
中学3年の春休み、私は友達と高校野球の試合を観に、阪神甲子園球場に行きました。私が春から通う予定だった高校が、初めて甲子園への出場切符を手に入れたからです。初めて行く甲子園が嬉しくて、前日は中々眠れませんでした。
当日は、朝早くから電車を乗り継ぎ球場まで向かいました。最寄り駅を降りてからは、タクシーに乗りました。いくらも乗らないうちに、テレビでしか見たことない、あの球場が見えてきて興奮したものです。球場に入ると、既に観戦に来た人がたくさんいました。第2試合に、私の通う予定の高校が試合でした。1回表、攻撃ののろしを上げることはできず、三者凡退での始まりとなりました。 相手の高校は、何度も甲子園で名前を聞いたことのあった、いわゆる常連校でした。相手校の監督は、甲子園をよく知っているようで、序盤から相手校がリードするような形の試合をしていました。
5回が終わったところで3対2と、相手校が1点リードしていました。こちらの高校が、一塁へ悪送球というエラーを出している間に、三塁ランナーが踏んだホーム。その1点のせいです。
試合が動いたのは7回のことでした。応援している高校に、追加点のチャンスが訪れました。2アウトながらもランナーは二塁におり、ヒットが出れば同点、一気に試合を降り出しに戻すことが出来る場面にあたりました。ピッチャーが全身全霊をこめて、一球一球、キャッチャーと作戦を立てながら投げてくる球に、必死の思いで食らいつくバッター。バッターの打ったボールは、何回もファールボールとなり、私たちが応援していた応援席に飛んできました。7球目くらいだったでしょうか、今まで私たちのいる応援席にばかり飛んできていたバッターの打った球が、左中間を抜け、念願のヒットが生まれました。友達と手をたたき喜んでいる、あっという間に二塁ランナーはホームを踏み、同点になりました。
試合は降り出しです。8回、相手校が2アウトながらも塁に出ました。ここで1点リードされてしまうと試合展開はかなり厳しくなります。大きな声援に応えるように、球児の皆さんは守りを固めました。カキーンという何とも気持ちのいい音と共に、ボールは外野手の方へ飛んでいきました。内野手の方と、譲り合いをする場面が見受けられ、落としてしまうのではないかとヒヤヒヤしましたが、外野手の方ががっちりとボールを掴み、見事3アウト。観客席からは安堵の声と声援と拍手がありました。
そしていよいよ最終回です。応援していた高校に追加点はないまま9回の表は終了してしまいました。9回裏、順調にアウトを増やし、2アウト。あと1人アウトに出来れば、延長戦へともつれ込ませることが出来ます。友達と、応援しながら「ここでホームランなんかがでたらどうする?」なんて笑っていた、次の瞬間。カキーンという音。のびるボール。ホームランでした。試合はあっけなく終わり、選手が応援席に挨拶に来ました。涙しながら、お礼をする皆さんに、さっき自分たちが口にした言葉に私も友達も、胸が痛み、言葉にならない何ともやりきれない気持ちになりました。
